2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒を用いる不飽和化合物のカルボシアノ化反応の開発とその応用
Project/Area Number |
07J08803
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 泰啓 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニトリル / カルボシアノ化反応 / 遷移金属錯体触媒 / アルキン / ルイス酸 |
Research Abstract |
(1)アルキンおよびジエン類のアルキニルシアノ化反応 シアン化アルキニルとアルキンをニッケル/トリフェニルボラン触媒存在下反応させるとシアノ基とアルキニル基が位置および立体選択的に付加して様々な構造を有する共役エンインニトリルが合成できることをすでに見つけている。この反応の反応機構の詳細について調べるためにニッケル錯体、ニトリル、トリフェニルボランの等量反応について検討した。その結果、鍵反応であるニトリルの炭素-シアノ基結合のニッケル錯体への酸化的付加がトリフェニルボランにより促進され酸化的付加体が得られ、それを単離し、X-線結晶構造解析によってその構造を明らかにした。またこの錯体を用いてアルキンとの等量反応を行うことで律速段階や、位置選択性を合理的に説明できた。また、シアン化アルキニルは同様の触媒存在下1,2-ジエンに位置選択的に付加することもすでに見つけているが、他の二重結合としてノルボルナジエンもニッケル触媒存在下に利用できることを見つけた。 (2)アルキンのシアノエステル化およびシアノカルバモイル化反応 前年度にシアノ蟻酸エステルおよびシアノギ酸アミドがニッケル/ルイス酸触媒を用いるとそれらのシアノ基とアルコキシカルボニル基あるいはカルバモイル基が位置および立体選択的に付加することを見つけ、さまざま変換反応によりその生成物の有用性を示している。これらの反応の位置選択性について説明する際にニトリルがニッケル錯体に酸化的付加したときルイス酸がシアノ基あるいはカルボニル基のいずれに配位しているかが重要である。これを明らかにする目的でルイス酸の配位した酸化的付加体の単離及び構造決定を試みたところシアン化カルバモイルのニッケル錯体への酸化的付加体を単離することができ、そのさまざまなスペクトルデータなどからカルボニル基にルイス酸が配位していることを確かめ、合理的に位置選択性を説明する反応機構を推定することができた。
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