2009 Fiscal Year Annual Research Report
多金属協同触媒によるカルボニル化合物の新規炭素骨格再構築反応の開発
Project/Area Number |
07J08804
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢田 陽 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多金属協同触 / 遷移金属 / ルイス酸 / カルボニル化合物 / 不飽和化合物 |
Research Abstract |
今年度はまず、シアン化アルキニルのシクロプロペンへの付加を検討した。申請者の研究室では、ニッケル/ルイス酸協働触媒を用いたアルキンやジエンのアルキニルシアノ化反応が進行することを見つけている。さらなる不飽和化合物の適用範囲拡大を目指し検討した結果、シクロプロペンのアルキニルシアノ化反応が進行することを見つけた。シアン化シリルエチニルと様々なシクロプロペンをニッケル/塩化ジメチルアルミニウム触媒存在下反応させると、シアノ基とアルキニル基がシクロプロペンにシス付加した生成物が収率よく得られた。シクロプロパン骨格は医薬品や天然物に多く含まれるので、本手法は多置換シクロプロパンの立体選択的合成法として有用であると考えられる。さらに、同反応を異なる配位子を用いて行うと、共役トリエン化合物が得られることを明らかにした。用いる配位子を変えることで、両生成物を選択的に合成できる点は非常に興味深い。 さらに今年度は、シアノギ酸アミドのニッケル(0)への酸化的付加体の構造の同定に成功した。申請者の研究室では、シアノギ酸アミドがニッケル/ルイス酸触媒を用いるとシアノ基とカルバモイル基がアルキンに付加することを見つけている。この反応の位置選択性を説明するにあたって、ルイス酸が酸化的付加体のシアノ基またはカルボニル基のいずれに配位しているかが重要である。そこで、これを明らかにするために、酸化的付加体の構造決定を試みた。ニッケル錯体、ルイス酸、シアノギ酸アミドの当量反応によって、酸化的付加体のルイス酸付加体の単離、X線結晶構造解析による構造決定に成功し、ルイス酸がシアノ基に配位していることを明らかにした。この結果をもとに、位置選択性を合理的に説明できる反応機構を推定することができた。
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