2007 Fiscal Year Annual Research Report
光で立体加工可能な超分子ヒドロゲルの開発と、タンパク質保持能を活かしたその応用
Project/Area Number |
07J08836
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村岡 貴博 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ペプチド / 光応答性 / 両親媒性 / らせん / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究では、親水的なオリゴペプチドと疎水的なアルキル鎖とから成る両親媒性ペプチド(PA)を用いた。PAは水中でアルキル鎖を内側にして凝集する。この時ペプチド部分にβシート構造をとりやすいアミノ酸を用いることで、PAがシリンダー型ミセル構造を作りナノファイバーが得られることが知られている。この構造形成に着目し、アルキル鎖とペプチド部分の間に嵩高い置換基を配置することで新規な構造を誘起できるのではないかと考えた。さらに、その嵩高い置換基を光で取り除けるようにすることで、光に応答した分子レベルの構造変化が、nm-μmレベルの大きな構造変化を引き起こすと期待した。その置換基としては2-ニトロベンジル基を選択し、アミド結合の窒素原子上に配置した。アルキル鎖としてはpalmitic基を、ペプチド部分はGV3A3E3-OHを用いた。 このPAの構造を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、大変興味深いことに四本のナノファイバーが互いにより集まり四重らせんをとることが分かった。このようなmicellar fiberから成る四重らせんは珍しく、我々の知る限りこれが二例目である。四重らせんの末端に注目すると、二本のナノファイバーが二重らせんを作り、その二重らせん二本がさらに巻き上がることで四重らせんができていることが分かった。原子間力顕微鏡観察によると、この二重、四重らせんは共に右巻きであった。これに350nmの光を五分照射したところ、TEMにおいて四重らせんは消え、一本鎖のナノファイバーのみが観察された。 この様に、シリンダー型ミセル構造からなるナノファイバーのコア付近に光応答性の嵩高い置換基を配置することで、四重らせん構造の誘起、及び光照射による一本鎖のナノファイバーへの構造変化を実現した。
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Research Products
(1 results)