2008 Fiscal Year Annual Research Report
光で立体加工可能な超分子ヒドロゲルの開発と、タンパク質保持能を活かしたその応用
Project/Area Number |
07J08836
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村岡 貴博 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教
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Keywords | ペプチド / 超分子ゲル / 両親媒性 / 光応答性 / ナノファイバー / ヒドロゲル / ゾル・ゲル転移 / ミセル |
Research Abstract |
本研究では、親水的なオリゴペプチドと疎水的なアルキル鎖とがら成る両親媒性ペプチド(PA)を用いた。PAはその両親媒性から、水中でアルキル鎖を内側にして凝集する。この時、ペプチド部分にベータシート構造をとりやすいアミノ酸を用いることで、PAがシリンダー型ミセル構造を作り、ナノファイバーが得られることが知られている。この構造形成に着目し、ファイバー中で比較的充填密度の高い、アルキル鎖とペプチド部分の間に嵩高い置換基を配置することで、その立体障害などの影響で、新規な構造を誘起できるのではないかと考えた。さらに、その嵩高い置換基を光で取り除けるようにすることで、光に応答してその超分子構造を変化させられるのではないかと考えた。このコンセプトの下、光応答性基として350nmの光で脱離する2-ニトロベンジル基を用い、ベータシート形成部位としてグリシン-アラニン-アラニンを用いたPAを合成した。光照射前の構造体を透過型電子顕微鏡で観察したところ、興味深いことに球状ミセルを形成していた。さらにその水溶液に対して光を照射したところ、2-ニトロベンジル基が脱離し、それに伴いナノファイバーが形成されたことが確認された。さらに興味深いことに、この構造変化はマクロスケールにまで影響し、塩化カルシウム添加状態で、光照射前は溶液であるが、照射後はゲル化しか。これは、ナノファイバー形成に依るものであり、光に応じて溶液からゲルへの転移反応を行うPAの最初の例である。
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Research Products
(2 results)