2008 Fiscal Year Annual Research Report
Hsp90機能調節によるポリグルタミン病の治療法開発
Project/Area Number |
07J08848
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和座 雅浩 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / ユビキチンプロテアソーム系 / 分子シャペロン / HSP90阻害剤 / 17-DMAG / ポリグルタミン病 |
Research Abstract |
分子シャペロンとユビキチンプロテアソーム(UPS)系は、半減期の短い蛋白を分解する主要な蛋白分解システムであると同時に、細胞内の変異蛋白質を分解処理して無毒化するシステムとして重要である。多くの神経変性疾患では、この分子シャペロンとUPS系の機能を超えて神経変性の原因となる変異蛋白質が蓄積し、神経毒性が惹起される。ポリグルタミン病のうち、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)では、伸長ポリグルタミン鎖を有する変異アンドロゲンレセプター(AR)が細胞内に蓄積し、神経細胞の機能障害や変性が惹起される。分子シャペロンであるHSP90の阻害剤は、ユビキチンプロテアソーム系を介してHSP90のクライアント蛋白の分解を促進することが知られている。ARがHsp90のクライアント蛋白であることに着目し、経口投与可能なHSP90阻害剤である17-(dimethylaminoethylamino)-17-demethoxygeldanamycin(17-DMAG)をSBMAマウスモデルに投与し、その効果を検討した。まず、17-DMAGの効果発現の基盤となるユビキチンプロテアソーム系の機能はSBMAマウスの脊髄において保たれていることを確認した。そして、17-DMAG投与マウス群では、脊髄における変異ARの分解により、核に集積する単量体の変異AR量が減少し、分子シャペロンのHsp70とHsp40が誘導されていた。表現型では、特に肝腎毒性など明らかな副作用は見られず、進行性の体重減少の抑制、生存率の改善、foot printによる歩幅の改善が見られ、17-DMAGは安全かつ十分な治療効果を発揮することが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)