2007 Fiscal Year Annual Research Report
小津安二郎初期作品とヴァナキュラー・モダニズム-両大戦間期日本における近代の経験
Project/Area Number |
07J08883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
御園生 涼子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 映画学 / 日本近代史 / 東アジア研究 / モダニズム / グローバル化 / メディア研究 / 帝国主義研究 |
Research Abstract |
平成18年度9月よりニューヨーク大学東アジア学科に客員研究員として在籍し、米国におけるアジア近代研究の拠点である同学科において「東アジアにおけるモダニズムと帝国主義」というテーマを中心に研究活動および意見交換を行った。とりわけ、同大学においてアドバイザーとなって頂いた吉本光宏准教授、米国の代表的な日本研究者であるハリー・ハルトゥーニアン教授、韓国近代文学研究者であるジャネット・プール准教授から頂いた幅広いコメントと示唆によって、本研究の理論的な基盤を決定すると同時に、より大きな視座において研究課題をとらえることが可能となった。 米国滞在中の他の具体的な調査活動としては、ニューヨーク近代美術館およびワシントンDC議会図書館のフィルム・アーカイヴにおいて、1920-30年代に日本に輸入され、小津作品に影響を与えたハリウッド映画十数本をリサーチする機会に恵まれた。また、議会図書館およびニューヨーク市立図書館において、両大戦間期における映画の輸出入および外国映画市場の調査に関わるアメリカ政府文書を調査・収集することができた。これらの調査によって、現在まで明確な形で語られることのなかった両大戦間期における日本映画とアメリカ映画との関係、とりわけ第一次大戦後におけるアメリカ映画のグローバルな影響力の地勢図におけるその意味について実証的に考察してゆくための資料を得ることが可能となった。さらに、映画研究の重要な拠点でもあるニューヨーク大学図書館において、主要な雑誌論文および希少文献にアクセスすることができた。これらの研究・調査活動を行う一方で、平成19年度3月にボストンにおいて開催されたアジア学会に参加したことは、現在の英語圏におけるアジア研究の動向を知る良い機会となった。また、4月にドイツ・フランクフルトにおいて開催された日本映画研究の国際シンポジウムKinema ClubVIIIに参加し、1980年代の日本映画についての発表を行うとともに、同シンポジウム参加者と意見交換を行った。
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Research Products
(2 results)