2007 Fiscal Year Annual Research Report
放棄人工林における森林管理が水資源量に及ぼす影響評価-樹液流計測に基づく検討
Project/Area Number |
07J08888
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久米 朋宣 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 樹液流計測 / 森林 / 蒸発散 / ヒノキ人工林 / 水資源 / 流域 |
Research Abstract |
申請した研究は、樹液流計測を管理放棄人工林に適用し、森林管理が水資源量に与える影響を評価するものである。今年度の大きな成果として、樹液流計測を用いた森林蒸発散量の評価方法を確立したこと、樹液流計測を管理放棄人工林に適用し長期計測を開始したこと、の2点があげられる。 前者について、樹液流計測を用いて森林の蒸発散を評価する際に、(1)同手法では遮断蒸発が考慮できない、(2)樹冠で生じる蒸散と幹で計測される樹液流の間に存在するタイムラグを補正する必要がある、(3)何本の木で樹液流を計測すればよいかが不明である、という3つの課題が存在していた。これらの課題に対し、まず、樹冠遮断が生じている時間を樹液流計測から特定することにより(1)の問題を克服した。この成果は、Journal of Hydrology誌に論文として発表された。次に、(2)の課題に対し、樹冠上での蒸散の計測と地際での樹液流計測を同時に行うことで、樹木の蒸散と樹液流のタイムラグの実態を明らかにした。この成果について、Agricultural and Forest Meteorology誌に論文として採択が決定された。(3)の課題に対して、ヒノキ人工林において総計60本のヒノキを対象に樹液流計測を実施し、森林スケールの蒸発散を推定するうえで必要な計測本数を明らかにした。この成果について、日本森林学会、水文・水資源学会の総会において発表した。以上の成果を踏まえ、九州大学農学部附属演習林内の御手洗水試験地に2つの試験区を設け、樹液流計測を開始した。この計測を来年度も継続する。 これらの成果に加えて、補助的な研究も行い、熱帯から温帯にまたがる様々な森林生態系の環境条件及び蒸発散の季節変化と年々変動の実態を明らかにすることに成功した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Estimation of canopy water storage capacity from sap flow measurements in a Bornean tropical rainforest.2008
Author(s)
Kume, T., Manfroi, O. J., Kuraji, K., Tanaka, N., Horiuchi, T., Suzuki, M. and Kumagai, T.
-
Journal Title
Journal of Hydrology 352
Pages: 288-295
Peer Reviewed
-
-
-
-