2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物強誘電体表面のナノ・原子スケール電子物性の解明と測定法開発
Project/Area Number |
07J08890
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加来 滋 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強誘電体 / ナノ / 表面 / 電子物性 |
Research Abstract |
申請者の所属する研究室ではこれまでにマクロスケールの測定を行い、強誘電体表面に絶縁体にも関わらず本質的に電荷層(表面電荷層)が存在することを示しており、本研究では表面電荷層をナノスケールで定量化し、発現機構の解明を目的としている。 強誘電体とは外部電場のない状況でも自発的に電気分極を維持できる物質であり、電気分極が同一方向に揃う分域という構造を作る。この分域構造は強誘電体の基礎物性であり、これをナノスケールで調べることは、他の強誘電体物性を解明する上で重要であり、今年度はナノスケールにおける測定手法として、AFM(原子間力顕微鏡)、分域を直接測定できる圧電AFM、表面電位を測定できるSKPMの測定環境と技術を確立した。これにより、本研究でもっとも重要な強誘電体分域のナノスケールでの制御(自発分極の向きを揃える)と同定が可能となった。これらの技術はいずれも超高真空槽内で実現させている。さらに、表面電荷層の解明に必要な超高真空槽内での高感度電流測定環境も整えた。 また、強誘電体は、表面に不純物が付着すると、自発分極が遮蔽されてその本来の性質を失ってしまうため、超高真空中かつ清浄表面における測定でのみ原理的な性質を解明できる。そのため、今年度は原子レベルでの表面清浄化方法を検討し、実際に清浄化を行い、2008年日本物理学会年次大会で報告した。尚、強誘電体は絶縁体であり、清浄化手法としてよく使われる通電加熱方式等が適用できず、強誘電体表面を清浄化する方法を得たことだけでも意味がある。
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