2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム複製開始因子の活性制御を中心とした複製と転写の制御ネットワーク解析
Project/Area Number |
07J08897
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 賢太 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大腸菌 / DNA複製 / 開始制御 / AAA+ファミリー / タンパク質間相互作用 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究では、大腸菌におけるゲノム複製開始抑制機構(RIDA)の理解、及びそれに伴う遺伝子発現調節についての理解を目的としている。 今年度は、RIDAの分子機構についての解析を行った。 RIDAは複製開始タンパク質DnaAに結合するATPの加水分解を行う機構である。これにより生じたADP結合型DnaAは複製開始能がなく、不活性である。RIDAにはDNAポリメラーゼサブユニットであるクランプ、及びHdaタンパク質が必要である。DnaAとHdaはAAA+ファミリーというATPaseファミリーに属する。一般的にAAA+ファミリーはドメイン内の複数の領域を介して多量体を形成する。このことから、RIDA反応時にはDnaAとHdaがAAA+ドメインを介して相互作用していると考えられる。しかし実際にどのような相互作用様式をしているのかは不明である。申請者は、ホモロジーモデルからDnaA-Hda相互作用に必要な領域を複数予測した。DnaA-Hda相互作用解析系を構築し、精製した変異タンパク質を用いて解析した結果、ある一部の領域を介した相互作用がRIDA活性に必要であることを見出した。Hdaはクランプと相互作用することが既に報告されている。申請者はHdaとクランプとの相互作用がHda-DnaA相互作用に必須であることも見出した。 また、申請者はhda遺伝子の発現解析を行った。申請者は細胞周期中でのmRNA量及びHdaタンパク質量は変化しないことを見出している。申請者の所属研究室の解析結果から、hda遺伝子発現は3つのmRNAにより起こることが明らかとなっている。申請者はhdaの転写量が定常期で減少することを見出した。最も短いサイズのmRNAのプロモーターを決定した結果、定常期依存に発現する遺伝子の転写に関わるシグマ因子の認識配列が存在した。しかし、σsを欠損した細胞でもhda遺伝子の転写は定常期に減少した。定常期におけるhda遺伝子の転写量の減少は、σsを介さないことが示唆される。
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Research Products
(4 results)