2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08905
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 宏信 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ベルクソン / ジャネ / 哲学 / 心理学 / フランス / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
哲学と心理学の関係はフランス思想史研究における重要なテーマである。現在準備中の博士論文では、哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941)と心理学者ピエール・ジャネ(1859-1947)という2人の同時代人を主たる対象としている。双方はそれぞれの分野の中心人物であっただけでなく、互いの視座から哲学と心理学が共有しうる様々な問題にアプローチしていた。その要にあるのが自由の問題である。2人の諸著作を読み合わせることは、前世紀初頭のフランスにおける哲学と心理学の対話の一端を解明することにつながるといえる。 前期は名古屋大学にて受入教員の飯野教授のセミナーに出席し、フーコーの『狂気の歴史』を講読した。心理学の歴史を批判的に記述したこの著作は本研究における重要参考文献のひとつである。夏季からは科学研究費補助金によりフランスに渡航し、パリ高等師範学校のヴォルムス教授に論文指導をお願いしている。1月には教授主催の勉強会にて中間発表をおこなった。また、パリ第五大学医学部図書館、サンタンヌ病院精神科付属図書館などで、ベルクソンとジャネ各々が参照していた当時の心理学・精神医学関連の文献を調査している。双方の言説の接点を実証的に究明するためにもこれは不可欠の作業である。この論文執筆作業と同時に、ジャネの初期作『L'Automatisme psychologique』の翻訳を進めている。当初の計画通り既に下訳は終わろうとしている。飯野教授にはその一部を校閲していただいた。共訳者の藤岡教授(日本社会事業大学)には出版社との折衝を図っていただいている。目下のところは、本年(平成20年)6月のピエール・ジャネ研究所年次学会での発表原稿を準備している。平成19年度の具体的な研究成果としては、『ベルクソン年報3』(2007)にジャネの諸著作を紹介した書評が掲載されたことがあげられる。
|
Research Products
(1 results)