2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08905
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 宏信 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ベルクソン / ジャネ / 哲学 / 心理学 / フランス思想史 / 精神医学 |
Research Abstract |
哲学と心理学の関係はフランス思想史研究における重要なテーマである。現在準備中の博士論文では、哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941)と心理学者ピエール・ジャネ(1859-1947)という2人の同時代人を主な対象としている。両者はそれぞれの分野の中心人物であっただけでなく、互いの視座から哲学と心理学が共有しうる様々な問題にアプローチしていた。その要にあるのが自由の問題である。2人の諸著作を読み合わせることは、前世紀初頭のフランスにおける哲学と心理学の対話の一端を解明することにつながるといえる。平成19年後半から20年6月まではフランスにて研究を進めた。パリ高等師範学校のヴォルムス教授から論文指導を受けることが主たる目的であった。また、パリ第五大学付属図書館、サン・タンヌ病院精神科付属図書館などにて、ベルクソンとジャネ双方が参照していた心理学、精神医学関連の文献を調査した。両者の言説の接点を実証的に究明するためには不可欠な作業であった。6月6日には、パリのピエール・ジャネ研究所の年次学会にて口頭発表をおこなった。ベルクソンがとりわけ注目し検証した当時の失語症研究の一端を解明するため、ジャネの師であった神経科医のシャルコの業績を確認するとともに、この病がはらむ心理学的問題を3者のやりとりのなかで抽出しようと試みた。帰国後の11月28日には、東京の朝日カルチャーセンターでの連続講座の一こまを担当した。哲学と心理学双方にかかわる無意識の問題をめぐるベルクソンとジャネの考え方の類似点を明らかにする発表をおこなった。平成21年3月には、科学研究費補助金にて再度フランスでの文献収集をおこなった。こうした論文執筆作業と並行するかたちで、ジャネの主著『L'Automatisme psyohologique』の翻訳を進めている。既に下訳は終わり現在は推敲中である。共訳者の藤岡教授(日本社会事業大学)には出版社との折衝をお願いしている。企画が通った折には早々の出版が見込まれる。
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Research Products
(1 results)