2007 Fiscal Year Annual Research Report
アテロームプラーク破綻動物モデルを用いた破綻機構及び薬剤の破綻抑制機構の解明
Project/Area Number |
07J08913
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 香江 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動脈硬化症 / アテロームプラーク破綻 / 動物モデル / MMPs / 高脂血漿 / スタチン / ApoEノックアウトマウス / 循環器疾患 |
Research Abstract |
本動物モデルにおけるプラークの脆弱化・破綻と炎症反応との関連性の検証 粥状動脈硬化巣におけるプラーク破綻は心血管疾患の重大なイベントであり、そのメカニズムは不明な部分が多い。最近我々が報告した動物モデルは、ヒトのプラーク破綻の病理像と類似しているという特徴を有していた。本年度の研究において、ヒトのプラーク破綻で知られている線維性被膜の脆弱化・破綻に際し、炎症性細胞が産生・分泌するタンパク質分解酵素;マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)やカテプシンの存在及び発現変化を調べ、炎症性細胞の関与を明らかにした。さらに、本手技により破綻抑制効果を有することを確認している薬剤において抗炎症作用との関連性についても検討を行った。 1.プラークの不安定化に関わっていると考えられているMMPやカテプシンについて、破綻に伴うmRNAの経時的な発現変化の解析を行った。特にプラーク破綻に際して変化の見られたMMP-9においてその産生細胞を同定するためにMMP-9と炎症性細胞のマーカーとの二重染色を行いその一致が認められた。 2.さらに、本モデルのプラーク破綻に伴い、炎症性細胞の接着分子、ケモカインのmRNAの発現が認められ、破綻部への炎症性細胞の関与が示唆された。 3.スタチンは抗炎症効果がその多面的効果の一つとして注目されている薬剤であり、すでに確認されている本モデルにおける破綻抑制効果において、上述の1)、2)の変化との関連性を検討したところ、炎症性細胞の浸潤抑制ならびMMP-9の発現が有意に抑制されており、さらにプラーク安定化に関与する繊維成分の保持も認められこれらの効果により破綻が抑制された可能性が示唆された。即ち、抗炎症効果の関与により破綻が抑制されたことを示唆するに至った。 これらの研究結果を第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会および第15回日本血管生物医学会学術大会ならびに第4回名古屋Metabolic Syndrome研究会において発表した。
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Research Products
(8 results)