2008 Fiscal Year Annual Research Report
アテロームプラーク破綻動物モデルを用いた破綻機構および薬剤の破綻抑制機構の解明
Project/Area Number |
07J08913
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 香江 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動脈硬化症 / アテロームプラーク破綻 / 動物モデル / MMPs / 高脂血症 / Angiotensin II type I receptor阻害剤 / ApoEノックアウトマウス / 循環器疾患 |
Research Abstract |
粥状動脈硬化巣におけるプラーク破綻は心血管疾患の重大なイベントであり、そのメカニズムは不明な部分が多い。最近我々が報告した動物モデルは、ヒトのプラーク破綻の病理像に類似しており、有効な動物モデルである可能性が示唆された。前年度の研究成果において、本動物モデルにおける破綻のメカニズムとしてマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)の関与と、その主な分泌細胞として炎症性細胞(好中球・マクロファージ)が示唆された。その研究成果を踏まえ本年度の研究では、本動物モデルにおけるプラーク破綻抑制薬剤(Angiotensin II type I receptor阻害剤)の抗炎症効果との関連性の検討を行った。 1.プラーク脆弱化に深く関与することが提唱されているMMPのmRNAの経時的な変化を検討したところ、MMP-8 mRNAの発現が薬剤投与群で有意に抑えられていた。前年度の研究においてプラーク破綻に際して変化の見られたMMP-9は薬剤による発現低下の傾向は見られたもの、有意な差は得られなかった。一方、線維性被膜の主な構成成分であるコラーゲン量の変化を比較したところ、薬剤群で顕著にコラーゲンが保持され、薬剤投与によりプラークが安定化された可能性が示唆された。 2.MMP-8分泌細胞を同定するために蛍光二重染色を行ったところ、その主要な産生細胞として考えられる好中球において一致が認められた。 3.さらに、本動物モデルのプラーク破綻に伴い、炎症性細胞の接着・浸潤に関与するICAM-1、VCAM-1、MCP-1、また、炎症性サイトカインTNF-α、IL-1βのmRNA発現量は薬剤投与群において有意、に低値を示し、その抗炎症効果が示唆された。 以上の結果から、Angiotensin II type I receptor阻害剤はその多面的効果の一つである抗炎症効果を介して、プラーク内への炎症性細胞の接着・浸潤を抑制し、本動物モデルのプラーク破綻を抑制したことが考えられた。
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Research Products
(6 results)