Research Abstract |
力学的強度および生体機能性に優れた材料を創出するために,シランカップリング剤(γ-MPS)を用いて金属と高分子材料とを複合化した.金属材料にはチタン(Ti)を高分子材料には血液適合性に優れるセグメント化ポリウレタン(SPU)を選択した.その際,界面の接合強度を支配する因子を網羅的に解明し,界面の接合強度および界面の耐久性を界面の構造レベルで制御することを目指した.因子の解明は,シランカップリング剤の膜厚,Ti表面水酸基,SPU架橋数に着目した.このとき,Ti表面水酸基量の制御は過酸化水素浸漬により,SPU架橋数はUV照射によって制御を試み,それぞれの因子を制御した複合材料の界面の接合強度をせん断試験により算出した.その結果、過酸化水素浸漬処理およびUV照射によってそれぞれTi表面水酸基量およびSPUの架橋数を制御することができた.さらに,シランカップリング剤の膜厚,Ti表面水酸基,SPU架橋数を増加させると,界面の接合強度が増加したことから,それぞれが界面の接合強度の支配因子であることが明らかになった.また,それぞれの支配因子を制御した複合材料は超純水浸漬に対する耐久性が向上することが明らかになった.さらに,複合材料の生体機能性の評価を行うために,血小板粘着試験を行ったところ,Tiでは多くの血小板が粘着したが,Ti-SPU複合材料では,血小板粘着がみられなかった.これは,SPU由来の血液適合性が複合材料にも付与されたと考えられる.以上から,生体機能性を有する金属-高分子複合材料を創出し,その界面の接合強度の界面の構造レベルで制御することができた.
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