2007 Fiscal Year Annual Research Report
身体化による自己意識とその障害としての精神病理の関係-統合失調症を中心に-
Project/Area Number |
07J08987
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 智久 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 統合失調症 / 統合失調型パーソナリティ / 自己主体感 / 順モデル / 運動予測 / 視覚運動制御 |
Research Abstract |
□研究の背景 統合失調症あるいはその前駆段階であるとされる統合失調型パーソナリティでは、自己の行為に関わる主体感(自己主体感;sense of agency)に異常が見られる可能性が指摘されている。自己主体感の生起メカニズムは、行為の計算論によってモデル化されており、このモデルに従って研究を行っている。 □研究1 ●統合失調症患者では観察されている行為主判別の異常が、統合失調型パーソナリティ(以下、SP)の傾向が高い健常者でも見られるかを確認した。マウス操作に対する視覚フィードバックを操作し、その行為主を判別させた結果、SP高群では行為主を自己に帰属しにくい傾向が見出された。 □研究2 ●SP高群における行為主判別の異常が何によって引き起こされるのかを検討するために、行為の計算論に基づいて、自己運動の予測の異常を検討した。カーソルの見えないマウスで、ターゲットをクリックする課題によって自己運動の予測精度を比較した結果、SP高群ではターゲットからより離れた場所をクリックしており、自己運動の予測に異常がある可能性を示唆した。 □研究3(現在進行中) ●同様に自己主体感の異常が原因とされる幻聴様体験に焦点をあて、同様に自己声の帰属に異常が見られるかを検討している。幻聴様体験を高頻度で経験する健常者は、そうでない人に比べて、自己声を他者声と帰属してしまう割合が高いと仮説を立て、実験的に検討している。現在のところ、実験装置、プログラムなどは完成しており、予備実験を進めながら、実験参加者の数を増やしている。
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