2007 Fiscal Year Annual Research Report
カストロ革命政権下におけるキューバ文学史の「矢われた系譜」の再構築
Project/Area Number |
07J09007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山辺 弦 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラテンアメリカ文学 / イスパノアメリカ文学 / キューバ革命 / レイナルド・アレナス / ビルヒリオ・ピニエーラ / ホセ・レサマニリマ / 文化政策 |
Research Abstract |
2007年度の研究は実施計画通り、一次資料である現代キューバ文学のテクスト群を読み進めることを中心に行った。計画において言及されていたレイナルド・アレナス、ビルヒリオ・ピニェーラ、ホセ・レサマニリマらのテクストを多読することで、これらに対し包括的な視座での理解を得られたことに加え、他の同時代および後続の作家たちについても多くの作品に接したことは、予定以上の進展であり、今後の研究実践の発展にとっても、決定的に重要な経験となった。 主に一次テクストを読けこむ研究段階でありつつ、本研究の第二年次において予定されていた先行研究および文化理論の研究書をも多く読むことができたという事実もまた、本研究の予想以上の進展を示すものだと考えられる。中でも、研究計画において理論的支柱として重要視されていたフレドリック・ジェイムソン『政治的無意識』や、ドゥルーズノガタリ『アンチ・オイディプス』等を精読して得られた知識は、大きな成果となった。また、2008年2月に実施したUniversity of MiamiのCuban Heritage Collectionでの資料収集により、国内ではアクセスの難しい著作や論考を数多く入手することができ、またキューバ革命後の文化状況を論じた歴史学・社会学的著作も多数入手できた。これらの資料により、文学テクストを具体的歴史状況に突き合わせて論じるという二年次での研究段階への準備を適切に整えることができた。これまでの研究成果は数本の論文にまとめられているが、2007年度では日本ウテンアメリカ学会の学会誌に一本の掲載を許可されている。一方、アウトリーチ活動としては、神田外語大学での市民講座を担当した。次年度以降も、これまで以上に積極的かつ旺盛な研究活動を継続し、その成果を発表していく予定である。(757字)
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Research Products
(1 results)