2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子環境交互作用の解析による胃癌発症経路の解析と予防への応用
Project/Area Number |
07J09035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西尾 和子 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子多型 / MTHFR C677T / 胃がん / Helicobacter pylori / PTPN11 / 胃粘膜萎縮 / 葉酸 / 横断研 |
Research Abstract |
静岡県某検診センター受診者に対し研究協力のインフォームドコンセントを行い5040名の研究協力者を登録し、採血および生活習慣や病歴に関するデータの収集を行った。2008年3月までに、データ入力、人間ドックの結果の抽出、およびデータクリーニングを完了した。血液から抽出したDNAのgenotypingも開始した。大規模な分子疫学研究のデータベースができたため、遺伝子環境交互作用の探索が可能となった。 大幸医療センター自由心療内科受診者のデータを用いて、methylenetethahydroate reductase(MTHFR)C677T多型と血清葉酸値との関連を食事からの葉酸摂取を考慮した解析を行い、Journal of Epidemiologyに報告した。葉酸が癌リスクを減少させることは、これまでに多数報告されている。また、TTの人は、CC・CTの人よりも血清葉酸値が低いことが報告されている。しかし、食事からの葉酸摂取を踏まえて実施された先行研究は非常に少ない。今回の結果より、食事からの葉酸摂取を考慮しても、なおTTの人では血清葉酸値が有意に低いことが確認された。 名古屋大学医学部附属病院の人間ドック受診者のデータを用いて、PTPN11 genotypeとHelicobacter pylori感染および胃粘膜萎縮との関連を調査し、日本疫学会にて報告した。SHP-2をコードするPTPN1l genotypeの変異が種々のヒト癌の発症に関与することが示唆されており、また、PTPN1l genotypeとCagAとの関連も示唆されている。今回の解析ではPTPN1l genotypeとHelicobacter pylori感染との間に、またPTPN1l genotypeと胃粘膜萎縮との間にも有意な関連はみられなかった。今後さらに大規模なデータでの解析が必要である。
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Research Products
(2 results)