2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボードレールと「詩人の形象」の問題:19-20世紀における文学の社会的機能の研究
Project/Area Number |
07J09051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 綾 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボードレール / ベンヤミン / 歴史 |
Research Abstract |
申請者は、19年度から研究課題「ボードレールと詩人の形象の問題:19-20世紀における文学の社会的機能の研究」において、フランス近代詩人ボードレールをひとつのモデルケースとして「詩人の形象」という問題を19世紀の歴史とのコントラストのもとに明らかにしようと努めてきた。本年度は、昨年度の業績(フランスの歴史家フランソワ・アルトーグの主著『「歴史」の体制現在主義と時間経験Regimes d'historicite. Presentisme et experiences du temps』の全訳および解説)をふまえて、文学と歴史理論の関係、近代の「本来的経験」(それらはしばしば文学によって媒介される)の危機といった問題を、さらに広い視野で総括した。具体的には、2010年3月フランスでの在外研究において、国立大学図書館にて19-20世紀におけるフランスおよびドイツ思想・文学に関する資料収集をおこなった。また、社会科学高等研究院においてアルトーグ教授の仕事および滞在した社会科学高等研究院の思想史的位置づけについて論じたものとして「いま歴史を語るということ」という論文を季刊誌『環』夏号(2009年)に発表した。その他、東京大学総合文化研究科COEプログラムUTCPにおける研究会「イメージの作法」に定期的に参加し、参加者とともに、今後後の新たな人文研究の可能性(文学、歴史、社会・政治思想を含む領域横断的な学問環境の確立)を討議・模索した。
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Research Products
(1 results)