2008 Fiscal Year Annual Research Report
無毒性・低成長温度高温超伝導エレクトロニクス用薄膜材料の創成・応用に関する研究
Project/Area Number |
07J09058
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
菊永 和也 Kagoshima University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導薄膜 / Cu系超伝導体 / 光電子分光 / 電気輸送特性 |
Research Abstract |
本研究では超伝導異方性と量子デバイス開発のプラットホームとなる多成分超伝導状態発見の可能性等を有するとともに、Cu系超伝導体の中で最も構造が単純な(Cu,C)Ba_2CuO_x[(C,C)-1201]構造薄膜に注目し、低成長温度で無毒性高温超伝導薄膜材料の創成・評価を行ってきた。これまで、CO_2ガス・組成チューニングにより(Cu,C)Ba_2CuO_x構造において低形成温度500℃で超伝導臨界温度60Kを有する無毒性な高温超伝導薄膜材料の作成に成功してきた。この薄膜の高性能超伝導エレクトロニクス材料としての優位性を明らかにするために、基礎物性評価として超伝導特性と伝導度の関係をin-situ抵抗-温度測定により調べたところ、T_c>20Kにおいて伝導率σ>4x10^2S/cm、抵抗温度係数TCR>1.5x10^3K^<-1>ということを初めて明らかにした。そしてそれらが正相関であることから、これまで作成してきた(Cu,C)-1201超伝導薄膜はアンダードープから最適ドープ間であり、更にT_c=が向上することが示唆された。また、高温超伝導薄膜を応用する際に問題となる超伝導異方性に関係する電荷供給層の電子状態をin-situ光電子分光により調べたところ、T_c=40Kの試料の価電子帯スペクトルが高温超電導体の中で最も高い荷電状態を有するYBCOと同程度であることを明らかにした。これらより、(Cu,C)-1201超伝導薄膜は広いキャリアドーパビリティと低異方性の可能性が示唆され、エレクトロニクス用高性能超伝導薄膜材料として有望であるとともに、人工格子法を用いた電子構造や異方性制御を行うための超伝導ブロックとしても有望であると考えられる。
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Research Products
(4 results)