2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 諭 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 談話標議 / 接続語 / フレーム / FrameNet / メタファー |
Research Abstract |
今年度は談話標織の分析の足場として、FrameNet(http://framenet.icsi.berkeley.edu/)を使った接続語の記述方法の構築を主として行った。具体的には英語の接続語whileを例に取り、主節と従属節中に喚起されたフレームの関係(フレーム結合価)を記述することが有効であるということを明らかにした。その枠組みは下記11のLexiconで発表した論文で詳しく述べている。これまで接続語の記述は経験的なものが多かったが、このアプローチを取ることで、数量的な記述が可能となった。この点で、言語処理への応用の可能性を大いに秘めていると言える。また、whileに関するフレーム結合価は、10th Conference of the Pacific Association for Computational Linguisticsで、コーパスを使った分析をしその有用性を確認した。ここでは上記の論文で構策した接続語whileの結合価リストが意味のあるものであるということが数量的に証明された。さらに、教育分野への応用として、この枠組みを応用することでより粘緻な辞書記述が可能になるということをJACETの研究会にて明らかにした。この発表では辞書での記述の問題点を指摘し、フレーム結合価をベースにした改善の方向性を具体的に提示した。また、文中に喚起されるフレームは一律に決定することができない場合があるが、そのケーススタディとして、比喩的な用法(メタファー)の分析を行った。これにより、フレーム結合価を使った接続語の分析の足場が強化され、より広範囲のデータへの応用の足がかりを築くことができた。 今後の方向性としては、接続語のフレーム結合価での記述をwhile以外のアイテムに関しても行い、日本語・英語の対照研究も進めていく。また、言語処理分野への応用方法を模索する。同時に、辞書記述などの教育分野への応用と、フレームとメタファーに関する研究も進めていく予定である。
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