2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 諭 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 談話標識 / 接続詞 / 接続語 / FrameNet / フレーム意味論 |
Research Abstract |
本年度の研究は英語および日本語の談話標識について、1.博士論文の土台となる考察と分析、2.研究成果を応用する形の模索という二つの方向性から進めた。 1.報告者の研究の目的は、談話標識(接続詞・接続副詞・間投詞などを一般に含む)と呼ばれる言語アイテムについて、分析の方法を提案し、記述を進めるということにある。それらを実現するために重要となってくるのは言語現象に対してのボトムアップのアプローチである。本年度は、博士論文の土台となる用例分析を、主にBritish National Corpusなどから抜き出した英語のアイテムに関して重点的に行った。特に、while,sinceなどの接続詞、さらにby contrast,by comparisonといった論理関係を表す副詞(句)に関しての分析をフレーム意味論の観点から進めた。その中で、フレーム意味論の枠組みを用いたフレームの辞書であるFrameNet(http://framenet.icsi.berkeley.edu/)の手法を拡大した談話標識の記述方法を提案し、博士論文完成に向けて目下データの蓄積・分析中である。特に、節または文に喚起されたフレームの組み合わせである「フレーム結合価」という概念を提出し、これを用いることでより具体的で明示的な談話標識の記述が可能となることを主張している。また、フレーム意味論の枠組みをコーパス評価や多義語・類義語・名詞の記述にも適応し、談話標識以外への応用も行った。この成果は下記内田・藤井(2009)、藤井・内田(2009)、内田(2009)の学会発表で報告した。さらに、フレームとメタファーの関係性を探るため、Uchida and Haruyama(2008)の学会発表ではdiscourse metaphorという概念を用いて日本語の分析を行い、理論的な足場を固めた。 2.研究成果の応用を模索する一つの試みとして、談話標識の辞書記述に関して、詳細な検討を行った。具体的には、現行の学習辞書での問題点を明らかにし、フレーム結合価という本研究独自の概念を適応することが有効であるということを示した。この研究成果は内田(2009)の論文で提示している。また、英和辞典への実際的な応用として、「オーレックス英和辞典(旺文社2008)」にて談話標識に関する部分の執筆を担当した。 来年度は、これらの成果を踏まえ、(1)談話標識の詳細な記述データベースを構築および分析、(2)フレーム結合価などの概念を用いた英語と日本語の談話標識の対照研究などを目標に研究を進め、博士論文として成果をまとめる予定である。
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[Book] A Practical English Program (PEP)実践英語習得プログム(リーディング編)2009
Author(s)
岩本, 和良, 内田, 諭, 倉林, 秀男, 高木, 眞佐子, 田中, 茂彦, 八木橋, 宏勇
Total Pages
98
Publisher
DTP出版