2009 Fiscal Year Annual Research Report
コア-マントル境界近傍の不均質構造の波長と振幅の推定
Project/Area Number |
07J09108
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 亜希子 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部ダイナミクス領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | コアーマントル境界 / Sdiff波 / D"層 |
Research Abstract |
一昨年、パプアニューギニアの地震をアメリカ南部の観測点でとらえたSdiff回折波に顕著な後続波が現れることを見つけた。今年度は、この後続波の成因となる速度構造モデルを得ることに成功した。まず、波形データの精査により、限られた方位(60~68度)のデータが、震源と観測点を結ぶ大円上の二次元構造の影響を主に受けていることを明らかにした。次に、主要Sdiff波と後続波の走時差を説明する複数の二次元構造モデルを、波線理論を使って作成した。更に、Spectral Element Methodを用いてそれらのモデルから理論波形を作成した。その結果、観測波形の走時差と極性をよく説明する理論波形を複数のモデルから得た。異常Sdiff波波形は、局所的な超低速度領域(ULVZ,dVs<-30%,幅:150~400km,高さ:100-170km)と、それよりも規模の大きな低速度領域(dVs:約-5%,幅>500km,高さ>200km)の二種類の低速度領域を組み合わせることにより説明できる。本研究で見つけたハワイの南西に位置する超低速度領域(ULVZ)は、100km以上の厚さを持ち、水平方向にシャープな境界を持つ。これは、これまでに報告されたULVZと比較して約10倍厚い。しかしこの解析では、局所的な超低速度領域が、広域低速度領域の中心部に位置するのか、それとも端に位置するのかは、判別できなかった。どちらの場合でも、同じくらいデータをよく説明するモデルが得られる。異常構造の成因を明らかにする為に、データからこの二つのケースを識別する必要が在る。前者の場合は、異常構造は化学的に均一なマントルの温度異常のみで説明できる可能性があり、後者の場合は化学的不均質の存在を示唆する。この識別はマントルダイナミクスにおけるマントル最下部層の役割を明らかにする上で重要である。
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Research Products
(4 results)