2007 Fiscal Year Annual Research Report
コア-マントル境界近傍の不均質構造の波長と振幅の推定
Project/Area Number |
07J09108
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 亜希子 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | コア-マントル境界 / Sdiff |
Research Abstract |
パプアニューギニアの地震をテキサス州付近の観測点でとらえた記録から、現在ある地球内部地震波構造モデルでは説明できない、顕著なSdiff後続波を見つけた。これらの後続波は、sdiff波の20秒後から40秒後に出現し、最大でSdiff波と同程度の振幅をもつ。走時は、震源と観測点間の方位に依存し、テキサスよりも北で観測される程遅く到達することが分かった。このことから、これらの後続波は震源と観測点を結ぶ大円を外れ、大円の南側を通って観測点に到達していると考えられる。水平方向の激しい不均質構造の存在を示唆する。 傾いた反射面が下部マントルにあり、後続波がその面からの反射波であると仮定し、波線理論により解析を行った。その結果、深さ2000km(コア-マントル境界より800km上)に、水平面から60°傾いた反射面によって、後続波の走時を説明できることが分かった。既存のS波トモグラフィーモデルでは、アフリカと太平洋下のコア-マントル(CMB)境界上に広域な低速度領域が見られる。これまでに観測されたSdiff後続波は、それらの広域低速度領域の淵で、S波速度が水平方向に急激に変化することに起因することが知られている。しかし、本研究のSdiff後続波は、それらと比べ、振幅が大きくSdiff波との時間差が長い等の点で異なる。また解析結果が示すように、それらがCMB直上ではなく、数100km上の構造に起因すると考えられる点でも異なる。CMB直上だけでなく、CMBの数百キロ上にも局所的に水平方向の激しい不均質が存在することを示唆した意義は大きい。今後その成因について考察を行う。
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Research Products
(1 results)