2008 Fiscal Year Annual Research Report
コアーマントル境界近傍の不均質構造の波長と振幅の推定
Project/Area Number |
07J09108
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 亜希子 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | コア-マントル境界 / Sdiff / 回折波 / 地球内部構造 |
Research Abstract |
パプアニューギニアの地震をテキサス州付近の観測点でとらえた地震波形記録には、現在ある地球内部地震波構造モデルでは説明できない、顕著なSdiff後続波が見られる(To and Fukao,2007)。これらの波でサンプルされるマントル最深部は、S波トモグラフィーモデルで示される太平洋広域低速度領域の北端にあたる。近年、広域低速度領域の淵がマントルプルームの発生帯であるという研究報告がある(Burke,2004等)。後続波の成因となる構造を明らかにすることは、将来プルーム発生メカニズムの解明にも貢献すると考える。 後続波がある散乱源からの散乱波であるという仮定のもと、それぞれの観測点におけるSdiff波と後続波の走時差から、破線追跡により散乱源の位置をもとめた。その結果、標準的な球対称モデルと比較してCMB上で速度が10%遅くなる構造(ULVZ)を仮定すると、すべての観測点におけるSdiff波と後続波の時間差を説明できる散乱点がCMB上の一ヵ所に決まることが分かった。逆にULVZを仮定しなければ、走時差から求められる散乱源の位置は、後続波の大きな振幅を説明できない場所に決まる。散乱源は太平洋広域低速度領域の北西端に位置し、太平洋広域低速度領域の最深部に超低速度層が存在することを示唆する。今後、海洋研究開発機構の地球シミュレータでSpectral Element Methodを用いた波形モデリングの研究を進め、ULVZの速度異常の大きさや厚さ等の微細構造の制約を試みる。
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Research Products
(1 results)