2008 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類と霊長類の知覚統合過程に関する比較認知科学的研究
Project/Area Number |
07J09127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松野 響 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フサオマキザル / 形態統合 / 身体知覚 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き、フサオマキザル(Cebus apella)を対象に知覚統合過程についての研究をおこなった。第一に、形態知覚における大域的な統合処理の中間段階について検討するためGlassパターン刺激の知覚特性を調べた。実験では、局所的な方位の情報とそれらの統合による大域的な形態の情報を有するGlassパターン刺激について、部分的なノイズやギャップの挿入などの刺激操作を加えた際のパターン弁別の特性をフサオマキザルとヒトで比較した。結果、オマキザルの形態統合過程の中間段階における表現はヒトのそれと同様であること、またオマキザルの知覚は、大域情報との相対的な関係では局所的信号に依存していることを、あらためて確認した。 第二に、円や放射といった幾何パターンに比べより複雑な物体の統合処理について検討するため、ヒトの身体のCG刺激をもちいて身体姿勢知覚の知覚特性について検討した。昨年度の研究から、フサオマキザルがヒトと同様に、ヒト身体の形状を全体的に知覚統合処理していることが示唆されている。今年度は、生物学的に可能な姿勢、不可能な姿勢をとるヒト身体形態刺激の弁別特性を調べることで、フサオマキザルにおける身体形態の全体処理に関わる規定因を探った。結果、フサオマキザルではヒト身体の生物学的可動域は視知覚処理に大きくは影響しないことが示された。
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Research Products
(8 results)