2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
湊 照宏 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本帝国経済圏 / 中華民国経済 / 東アジア国際分業関係 / 資源委員会 / 公営企業 / 電力 / 石灰窒素 / アルミニウム |
Research Abstract |
1946年から1949年における台湾の経済政策の担い手であった資源委員会の一次資料を北京や大連など収集し、東アジアにおける産業構造と分業関係の変遷という国際的視角のもとに、市場と経済政策に関する分析を行った。 終戦に伴い、台湾経済は日本帝国経済圏から脱して、中華民国経済に編入された。この東アジア国際分業関係の激変は公営企業が展開する重化学工業に影響し、電力需給構造にも影響を与えた。1948年までの電力市場の回復を主導したのはアルミニウム、石灰窒素、苛性ソーダ、製紙の各工業であり、アルミニウム工業と苛性ソーダ工業は上海市場に依存しつつ発展し、石灰窒素工業と製紙業は省内市場を基盤に発展した。1949年の大陸「失陥」以後、電力市場の回復に寄与したアルミニウム、石灰窒素、苛性ソーダ、製紙の各工業は全て省内市場を基盤に発展した。1948年まで中国大陸経済との分業関係を築きつつあった台湾の重化学工業は再編成され、農業中心の産業構造に有機的な連関を有する電力立地型重化学工業が確立した。このことは、当時の最大輸入品目であった化学肥料の輸入代替を準備して外貨節約効果を有しただけでなく、外貨獲得産業である製糖業の復興を可能にした。 以上の研究成果については、2008年1月の経営史学会関東部会1月例会(慶應義塾大学)において「台湾における戦後復興と電力市場の再編」と題する報告を行った。なお、同報告内容を論文化したものが田島俊雄編著『現代中国の電力産業-「不足の経済」と産業組織-』(昭和堂、2008年2月)に所収された。
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Research Products
(7 results)