2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義ポーランドにおける政治・社会変動のダイナミクス-カトリック教会を事例に-
Project/Area Number |
07J09138
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
加藤 久子 Tsuda College, 学芸学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 東欧 / ポーランド / 現代史 / 民主化研究 / 社会主義 / 地方史 / カトリック教会 / ロマ(ジプシー) |
Research Abstract |
本年は、これまで地方都市(クラクフ)をサンプルとして明らかにして来た党・政府と教会の関係や、地方での政治や社会の変動が、中央(ワルシャワ)の政治状況とどのような関係を持っていたか、という点に力点をおきながら研究を行った。2度にわたり短期(4週間と2週間)の現地調査を行い、特にワルシャワのArchiwum Akt Nowychを中心に資料を収集した。 具体的な成果としては、(1)戦後に建設が始まったコンビナート都市へ人々が集まる(動員される)過程を、エスニック・マイノリティの「ポーランド社会」への同化という視点から分析した。特に、ロマの同化政策について、前年度の調査で得たクラクフの郡・市・県レベルでの資料と、本年度の調査で得た中央政府や他県の資料を対照しながら、『現代史研究』に論文を発表した。(2)地方のコンビナート(団地)における教会建設要求の過程において、従来、暴力的な「事件」として記録されてきた出来事が実際にはどのように構成されたものであったかという視点から分析を行った。成果は日本ロシア・東欧学会の研究大会にて報告し、『ロシア・東欧研究』に論文を発表した(校正済・印刷中)。(3)ポーランドにおけるアジア研究誌に、日本におけるポーランド現代史に関する研究史を紹介する小論文を執筆した(校正済・印刷中)。 現在は、上記(1)のテーマをさらに深化させるため、引き続きロマの同化に関する資料や文献を収集すると共に、戦後のユダヤ人の動員に関する研究・調査を平行して行っている。また、(2)のテーマについて研究論文を執筆している。
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Research Products
(4 results)