2008 Fiscal Year Annual Research Report
プレシナプスにおけるカルシウムチャネル複合体集積機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
07J09168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瓜生 幸嗣 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エキソサイトーシス / RIM / 電位依存性カルシウムチャネル / プレシナプス / 電気生理学 / Munc18 / アクティブゾーン / タンパク質複合体 |
Research Abstract |
神経細胞の伝達物質放出には複数の段階があることが知られている。シナプス小胞がプレシナプスのアクティブゾーンまで輸送される「小胞の輸送段階」、アクティブゾーンにおいて、小胞が膜直下にありながら放出装置の結合が完全でない「準備段階」、放出装置の結合が完全になって、Ca2+応答性の放出を起こす「放出段階」である。私は、これまでの研究で、RIM1タンパク質と電位依存性Ca2+チャネルの複合体がプレシナプスにおける神経伝達物質の放出に重要な役割を持つことを証明した。私が、解明した複合体は、「放出段階」で形成され、機能していると考えられた。しかし、小胞放出の準備段階から放出段階への移行が、どのように制御されているのかは未解明のままであった。 私は、この問題に対し、以下のような戦略を立て、解明を試みている。 私は、準備段階から放出段階への移行を制御する分子は、「放出機構に結合し、かつ、電位依存性Ca2+チャネルにも結合する」必要があると考えた。さらに、放出段階はRIM1によって制御されているとすれば、その分子は、RIM1と競合的にチャネルのβサブユニットに結合するタンパク質である可能性が極めて高いと考えた。酵母ツーバイブリット法によって単離されたβサブユニット相互作用分子の中から、このような条件を満たす分子を検索したところ、あるタンパク質Xが有力な候補となることがわかった。Xは、小胞放出装置に結合し、放出装置同士の結合を感知して、構造を変化させると考えらる。Xを電位依存性Caチャネル複合体形成させると、チャネルの不活性化は速くなり、Ca2+流入が負の制御を受けることがわかった。。 このような新たな分子間相互作用の発見と、機能解析によって、伝達物質放出の分子機構を明らかにしつつある。
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Research Products
(3 results)