2007 Fiscal Year Annual Research Report
詳細な陸面・海面過程を有する領域気象モデルを用いた首都圏大気環境問題の解明
Project/Area Number |
07J09173
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 僚子 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海表面温度 / 都市気象 / 半閉鎖性水域 / 東京湾 / 数値解析 / WRF |
Research Abstract |
近年の都市の急速な発展に伴い多様な都市大気環境問題が深刻な様相を深めているが、現行の領域気象モデルは、現実に即した陸面・海面物理過程(例えば、日変化を含む海表面温度や人工排熱を考慮した都市モデル)を導入するには至っていない。局地気象問題という特殊な問題を解明するためには、特殊な地表面物理過程を把握しモデルに適用することが重要であると考えられる。そこで本研究では、深刻な局地気象問題を抱える首都圏近傍の陸面・海面物理過程を適切に反映した領域気象モデルを構築し、数値解析を行うことで、複雑な都市気象の解明に取り組むことを目的とする。首都圏には東京湾という水圏が隣接しており、これが都市のヒートアイランドを緩和させる可能性があるなどとして、かねてから注目されているが、今日まで日変化といった時間変化の短い都市気象スケールの海表面温度変化については詳細には理解されてこなかった。そのため本研究では、東京湾内湾全域を対象として、長期連続的に海表面温度(SST)および海上気温を直接測定する観測網を構築し、約1年に渡って観測を実施した。これにより、例えば夏季のSSTは度々3度以上もの大きな日変化が生じている実態が明らかになった。上述した通り、現行の気象モデルではSST日変化は考慮されていないが、このような大きな変化は都市気象スケールでは無視できないと考えられる。そこで、直接測定で得られた東京湾SSTをメソ気象モデルWRFに組みこみ、実際のSST変化が都市の気温や大気-海面相互作用に及ぼす影響を検討した。これまでの事例解析により、例えば夏季では実際の東京湾SSTを導入した結果、海面フラックスが変化することで都市の気温低下が見られるなど、少なからずSST変化が都市気象に寄与している可能性が示唆され、都市気象スケールを対象とする場合、隣接する水圏のSSTを正しく評価することが必要であると考えられる。
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Research Products
(6 results)