2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化光捕集アンテナシステムを利用した高感度分子認識センサーの開発
Project/Area Number |
07J09190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西藪 隆平 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子認識センサー / 光捕集アンテナ / 自己組織化 / ヌクレオチド / 希土類金属イオン / ナノ粒子 / 白金ポルフィリン |
Research Abstract |
本研究課題「自己組織化光捕集アンテナシステムを利用した高感度分子認識センサーの開発」の遂行にあたり、前年度に見出した「ヌクレオチド・希土類ナノ粒子における光捕集アンテナシステム」を用いた分子認識センサーの構築を試みた。 本年度は蛍光性分子認識センサーを合成し、ヌクレオチド・希土類ナノ粒子中における蛍光性分子認識センサーの発光挙動を調べた。本研究では蛍光性分子認識センサーとして、酸素分子によって発光強度が変化するポルフィリン白金(II)錯体を合成し、白金ポルフィリンを導入したヌクレオチド・希土類ナノ粒子の水溶液中における発光特性について検討した。白金ポルフィリンは水溶液の溶存酸素によって著しい発光消光が観測されることが知られているのに対して、ヌクレオチド・希土類ナノ粒子に取り込まれた白金ポルフィリンは酸素存在下においてもその発光強度にほとんど変化が見られなかった。本結果から、ヌクレオチドと希土類イオンがナノ粒子内において強固かつ緻密なネットワーク構造を形成しており、そのためナノ粒子内への酸素透過が妨げられたと考えられる。分子が本来有する機能特性がナノ粒子内の特異なミクロ環境において安定保持される現象はナノ材料開発の機能設計において極めて重要な特性であり、分子集合に基づいたナノ粒子のさまざまなナノテクノロジー分野への展開を示唆するものである。またこの結果から、本研究課題である「自己組織化光捕集アンテナシステムを利用した分子認識センサーシステム」は、センサー分子を分子集合性ナノ粒子の内部に導入するよりはむしろ粒子表面に吸着固定化させることで実現可能であることが示された。 これらの結果は、本研究課題「自己組織化光捕集アンテナシステムを利用した高感度分子認識センサーの開発」の実現に重要な指針を与えるものであり、本年度の研究実施計画を達成するものである。
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Research Products
(8 results)