2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の自立支援体制の拡充を目指した社会参加活動の促進とQOLとの関係
Project/Area Number |
07J09216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白井 こころ Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 主観的幸福感(sub jective well-being) / 高齢者 / 自立 / QOL / プロダクティブ・エイジング / 社会参加活動 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は、主に以下の3点に分類される。 1)主観的幸福感研究:研究成果は、著書1冊の発行および、ブータン王国GNH(Gross National Happiness)プロジェクト研究報告、国際学会での研究発表である。本研究は、Bhutan王国政府シンクタンクと共同し、GNH Surveyと農村での質的調査を行った。(調査結果は、ブータン王国の民主化プロセス、10カ年成長戦略等に反映)GNHプロジェクトは、国の成長指標を経済発展(GNP等)に置かず、国民の生活満足度に置く。本研究はGNH基礎研究として、ブータン人の幸福感・生活満足度、又その評価基準を理解しようとした。分析の結果、既存尺度によるブータン人のHappinessレベルは、各領域における生活満足度を総合したadditive modelでは説明されず、宗教的領域および国王に対する信頼感の領域からの影響力が大きいことが明らかになった。また、欧米の先行研究が示す、prideや達成感と幸福感との関運は低く、他者への共感や充足感、calmnessとの関連が強く示された。今後更なる分析が求められるが、獲得的成長モデルでなく、右肩上がりの成長を志向しないSustainable societyの構築を目指すブータン王国の在り方は、成熟期に入る高齢社会日本への示唆に富むと考えられた。 2)高齢者自立支援研究:AGES Dataの分析により、認知症の発症にも社会経済階層が関連することを示した。また、低階層群においても、高齢者の社会参加活動への意欲が、5年間の死亡率と関連することを示し、プロダクティブ・エイジング志向と、高齢者の主観的Well-being、身体健康度についての考察を行った。(連載記事の1部として公衆衛生誌掲載予定) 3)ポジティブ感情・主観的幸福感と健康との関連研究:JPHC Dataの分析により、脳卒中と心筋梗塞を含む循環器疾患の発症と死亡に対し、「生活を楽しんでいる」意識がある者で、他のリスクファクターを考慮したうえでも、循環器疾患死亡のリスクが低いことを示した。発症への影響は明らかではなかったが、生活を楽しんでいる意識が、予防的に働くことを示唆した。
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Research Products
(5 results)