2008 Fiscal Year Annual Research Report
新奇機能性材料を目指したクラスター蒸着基板界面の電子状態の解明
Project/Area Number |
07J09235
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 恒幸 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター / 電子状態 / 2光子光電子分光 / 金属ナノ粒子 / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
クラスター蒸着基板界面の電子構造の解明に向けて,基板上のナノ構造体の,吸着誘起の電子状態を測定するためのモデル系として,金属ナノ粒子蒸着基板の測定を詳細に行った。前年度の測定を拡張し,本年度では表面プラズモン共鳴が他の金属に比べて強い銀ナノ粒子を選択し,かつTi:Sapphireレーザーの第二高調波を用い,表面プラズモン共鳴に対応する光子エネルギーでの2光子光電子分光測定を行った。微分型電気移動度粒径選別器(DMA)を用いて粒径選別した銀ナノ粒子を基板に蒸着することで,銀ナノ粒子の粒径をそろえかつ蒸着量を制御することに成功した。基板は平坦かつ化学的に不活性な水素終端シリコン基板を選択した。蒸着前の水素終端シリコン基板と比較すると,銀ナノ粒子を蒸着した基板では表面プラズモン共鳴に対応する光子エネルギーでその光電子数が著しく増大した。レーザーパワー依存性を調べることで,2光子吸収による光電子放出に加え,3光子吸収に基づく光電子放出が見られることを確認した。金属ナノ粒子の蒸着量を変化させると,全体的に光電子数は増加した。しかしながら,2光子光電子放出過程での光電子数の増大率と3光子光電子放出過程での光電子数の増大率が異なり,レーザーパワー増大と同じふるまいであることを見出した。このような局所的な光子密度の増大は,基板上の金属ナノ粒子同士が粒子間距離の接近で,表面プラズモン共鳴を介して相互作用し,局所的な電場増強が起こるためと考えられる。基板上のナノ構造体の集合構造に関する知見を光電子放出の観点から明らかにし,クラスター蒸着基板測定の足がかりとした。
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Research Products
(4 results)