2007 Fiscal Year Annual Research Report
新奇機能性材料を目指したクラスター蒸着基板界面の電子状態の解明
Project/Area Number |
07J09235
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 恒幸 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター / 電子状態 / 2光子光電子分光 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
クラスター蒸着基板界面の電子構造の解明に向けて,まず紫外光電子分光法と2光子光電子分光法を併用し,蒸着用の基板の電子状態の評価を行なった。具体的には,蒸着用の基板として水素終端シリコン基板を対象とした。水素終端シリコン基板はこれまで紫外光電子分光法や逆光電子分光法などでその電子状態が研究されてきたが,2光子光電子スペクトルの測定により,これまでの分光法では得られなかった詳細な表面の電子状態に関する知見を得ることに成功した。このことにより,表面科学の観点から非常に基礎的な基板である水素終端シリコン基板の詳細な電子構造を明らかにした。基板の評価に引き続き,吸着物誘起の電子状態を測定するためのモデル系として,ナノ粒子蒸着基板の測定を行った。具体的には微分型電気移動度粒径選別器(DMA)を用いて粒径選別したナノ粒子を水素終端シリコン基板に蒸着し,その測定を行った。ナノ粒子は透過型電子顕微鏡,走査型電子顕微鏡などのマイクロスコープを用いた実像観測により,その粒径や蒸着量を明らかにしたうえで,その電子状態を紫外光電子分光,および2光子光電子分光を用いて測定した。触媒や光物性の観点から金ナノ粒子を選択し,金ナノ粒子/水素終端シリコン基板の電子状態の測定を行ったところ,基板上の金ナノ粒子はバルクの金の性質をもつとともに,表面プラズモン共鳴を介した光電子放出をし,ナノ粒子特有の電子状態を示すことが明らかになった。このことにより,ナノ粒子由来の占有・非電子準位が基板の電子状態にどのような変化を及ぼすかを明らかにし,クラスター蒸着基板測定の足がかりとした。
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Research Products
(2 results)