2007 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性金属錯体の細孔表面の自在制御による革新的機能の創製
Project/Area Number |
07J09247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 裕俊 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 吸着 / 分離 / 錯体配位子 |
Research Abstract |
本研究では「多孔性金属錯体」の設計性の高さに着目し、細孔内に機能性部位を導入することで細孔表面の性質を制御することにより新機能の発現を目指す。細孔内に組み込む機能性部位は、様々な官能基が考えられるが,その中でも豊富な化学機能を有する遷移金属イオンをターゲットとしている。 本年度は、金属錯体配位子をピラーとするピラードレイヤー型の多孔性錯体に対し、各種ゲスト分子の吸脱着挙動を調査し、細孔内に存在する金属イオンサイトの効果を評価した。これまでは、細孔内に金属イオンサイトを導入する際、不安定な配位不飽和状態で存在させようとし、フレームワークの多孔性構造を安定に保つことは困難であった。本系では、この金属イオンサイトの不安定化の影響を吸収する機構をフレームワークに導入し、細孔構造を保持したままゲスト分子が相互作用可能な金属イオンサイトを存在させることができた。細孔内金属イオンサイト導入のための指針の一つになりうることが示された。 合成時の多孔性錯体の細孔中には水が取り込まれており、その一部はレイヤー内の銅イオンに配位している。これが熱で脱離すると、不安定化した銅イオンはもう一方のアキシアル位に存在するフレームワークの酸素原子の配位を受け、スクエアピラミダル構造が反転し、銅-μオキソダイマーユニットを生成する。このように、金属イオン周辺の配位結合がダイナミックに生成開裂しているにもかかわらず、三次元多孔性構造はほとんど変化がない。また、水の吸着実験から、この変換は可逆であり、銅-μオキソダイマーユニットが水を高いアフィニティで取り込むことがわかった。 以上、多孔性錯体の細孔に金属サイトを導入する手法を提案し、これにより、特定の分子を選択的に取り込むことができる可能性を示す結果が得られた。ここで得られた知見は、より高機能な貯蔵・分離材料の設計指針となりうるものであり、今後の展開が期待される。
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Research Products
(3 results)