2008 Fiscal Year Annual Research Report
一次元ホスト多糖・シゾフィランを用いた異種ゲスト化合物の交互組織化
Project/Area Number |
07J09286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原口 修一 Kyushu University, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多糖 / 共役高分子 / らせん状高分子 / 円偏光発光 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
私は多糖・シゾフィラン(SPG)と種々の共役高分子が作る特殊な複合体について、その形成メカニズムや複合体の詳細な構造解明を行っている。共役高分子には、高い蛍光量子収率や電荷移動度などからEL素子やFETなどへの応用が期待されているポリチオフェンやポリフェニレンエチニレン、ポリフルオレンなどを用いており、この様な共役高分子は、そのコンフォメーション変化によってその特性を大きく変化させることが知られている。この共役高分子への劇的なコンフォメーション変化を誘起していることが示唆されている、SPG複合体はより詳細な構造評価や機能評価を行うことで、共役高分子の新たな可能性を見出すことができると期待し研究を行っている。 本年度はこのSPGとの相互作用が、ポリチオフェンの酸化還元電位に与える影響について焦点を当て研究を行った。共役高分子の酸化還元電位の調整はこれまで合成による様々な官能基の修飾によって行われてきたが、これを超分子的な相互作用によって達成した例はなかった。私はSPGと種々のポチチオフェンの複合体について酸化還元電位を評価したところ、SPGと複合化したポリチオフェンはSPGによってそのコンフォメーションが固定化されたことで、より酸化されにくい状態へとその酸化還元電位をシフトさせることを明らかにした。特にドナー性の高い正孔注入層として用いられるような共役高分子は大気中の酸素によって容易に酸化を受けその物性が大きく劣化してしまうことが知られている。今回これらの共役高分子ともSPGは複合化することが明らかとなり、更に酸化還元電位のシフトに伴った酸素安定性を付与することができることが示唆された。この結果はこれらの共役高分子の更なる展開を支持するものになると考えられる。 今後はこのSPG/ポリチオフェン複合体の集積化や組織的な階層化を行うことにより、より高次な組織体へと展開し、更なる機能発現を行う計画である。
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Research Products
(4 results)