2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 衝 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC)
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Keywords | 球状星団 / 連星 / N体シミスレーション |
Research Abstract |
本研究では球状星団の力学進化を扱った。初期連星を多数含む球状星団の重力熱力学的コア崩壊が止まる時のコアサイズは、初期連星を全く含まない球状星団に比べて、10倍ほど大きいことが過去の研究で明らかになっている。しかし、これらの研究では初期連星の束縛エネルギー分布が対数一様分布と仮定されている。この分布が正しいかどうかは観測的にも理論的にも明らかになっていない。初期連星の束縛エネルギー分布の違いは星団進化に大きく影響する可能性があるため、私は連星の束縛エネルギー分布に関して系統的な研究を行った。私は独自に開発した球状星団用N体シミュレーションコードGORILLAを用いて、初期連星を含んだ星団のN体シミュレーションを行い、初期連星の束縛エネルギーの大きさが星団全体の進化に与える影響を調べた。8種類の星団についてN体シミュレーションを行った。8種類すべての星団は等質量の一万六千体の星からなる。初期連星の全質量は全星団質量の10%を占める。それぞれの星団ですべての初期連星の束縛エネルギーは等しい。その束縛エネルギーは0,1,3,10,30,100,300kT及び無限大kTである。ここでkTはエネルギーの単位である、3/2kTは星団の星の平均運動エネルギーである。OkTは初期連星のない星団に、無限大kTはすべての連星が2倍質量の星である星団に相当する。私は束縛エネルギーが大小の極限(<3kT,300kT<)の場合、星団は深い重力熱力学的コア崩壊をし、重力熱力学的コア振動をすることを示した。一方で、束縛エネルギーが中間の大きさ(10-100kT)の場合、初期連星からのエネルギー放出によって、重力熱力学的コア崩壊が途中で止まることを示した。重力熱力学的コア崩壊が終わる時のコア半径は連星が星団に供給するエネルギー量で説明できる。
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Research Products
(3 results)