2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09305
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 隼人 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / AFM / 高速AFM / バイオイメージング / ナノ動態 / 膜タンパク質 / バクテリオロドプシン |
Research Abstract |
本研究は、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて生体膜中における膜タンパク質のダイナミクスをリアルタイム且つナノメートル解像度で直接計測(可視化)する事により、それらの機能発現過程及び構造変化を捉え、その動態機能を解明する事が目的である。本年度の研究実績を以下に記述する。 1.生体膜を非破壊且つ高分解能で観察可能にするため、高速AFMの装置性能(時間・空間分解能)向上に取り組んだ。 (1)Z走査のフィードバック帯域を向上するため、従来のZスキャナーの代わりにカンチレバーを光で変位させて探針・試料間の高速距離制御を行った。その結果、フィードバック帯域は、70kHzから100kHzに拡大され、ビデオレートでの撮影(240nm,100Pixel)が可能となった。その成果を原著論文として報告した。 (2)変位検出光学系の改良に取り組んだ。カンチレバーの変位検出レーザーを670nmから980nm(赤外線)のマルチモードレーザーに変更する事で生体分子の吸収が少なく且つ安定・低ノイズによる高分解能化に成功した。 2.高速AFMでより高分解能な動態変化の過程を捉えるため、AFM観察に適した試料の調整として高度好塩菌の培養及び紫膜の精製に取り組んだ。密度勾配遠心により膜を分画する事で、安定且つ高純度な試料精製に成功した。 3.bR格子構造形成の仕組みを明らかにするため、高速AFMを用いた以下の2つの観察を行った。 (1)紫膜の光照射(波長532nm:緑色レーザー)後のbR脱結晶化過程の撮影を行った。光照射後、約1分で格子欠陥が生じ始め、約3分で格子のドメイン化が起こった。そして5分後にはそれぞれのドメインの分解により完全に格子結晶の分解が完了する事が分かった。 (2)紫膜中のbR2次元格子結晶端において、bRがトライマー(3量体)が周りの束縛を受けながら拡散する様子を捉える事に成功した。この事から、紫膜においてbRトライマー中の分子間相互作用はトライマー間の相互作用よりも強い事が示唆される。
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