2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09305
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 隼人 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / 高速AFM / バイオイメージング / ナノ動態 / 膜タンパク質 / バクテリオロドプシン / ロドプシン |
Research Abstract |
本研究は、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて生体膜中における膜タンパク質のダイナミクスをリアルタイム且つナノメートル解像度で直接計測(可視化)する事により、それらの機能発現過程及び構造変化を捉え、その動態機能を解明する事が目的である。本年度の研究実績を以下に記述する。 1.紫膜中でのバクテリオロドプシン(bR)の構造ダイナミクスを明らかにするため以下の測定を行った。 (1)紫膜中のbR2次元格子結晶端において、bRトライマーが脱着する様子を高速AFMで観察し、結合解離カイネティクスの解析を行った。その結果、bRの格子形成に必要なエネルギーは6×0.9kcal/molと見積もられ、示差走査熱量測定で得られていた格子崩壊時のエネルギーとほぼ一致した。その成果を原著論文として提出し現在査読中である。 (2)高速AFMで撮影中に、走査に同期して光照射(波長532nm:緑色レーザー)できるシステムを構築した。野生型bRと比べて光サイクルが100〜1000倍遅い変異体D96Nの観察にこのシステムを適用する事で光照射前後のbRの動的構造変化解明が期待できる。 2.ロドプシンの高分解能観察のための試料準備と測定手法・装置の最適化に取り組んだ。 ロドプシンは可視光の吸収により容易に色素分子(レチナール)が異性化し、分子から脱離する。そこで、昨年度構築した赤外線による変位検出光学系に加え、AFM装置の暗視野環境を構築した。また、AFM観察に適した試料調製のためウシロドプシンの抽出及び天然脂質膜への再構成を行った。その結果、再構成時の脂質割合や界面活性剤の割合などの条件を変える事で2次元結晶の結晶化度が変化する事が分かった。さらに、天然の円盤膜中に存在するロドプシンでも、4℃で長時間インキュベーションを行うと2次元結晶化する事が分かった。
|