2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴野 佑紀 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電子移動 / エネルギー移動 / 色素増感太陽電池 / ペリレンジイミド / フラーレン / オリゴシラン / ポルフィリン / 立体配座依存性 |
Research Abstract |
新規な分子内電子移動系として、ピロリジン置換ペリレンジイミド-フラーレン連結分子を合成した。吸収測定の結果、本化合物は可視部全体にわたって吸収帯をもつことがわかり、太陽光を効率よく吸収できることが示された。励起状態のダイナミクスの詳細な検討の結果、フラーレンをアクセプターとしてもつ電子移動系としては極めて短い電荷分離状態の存在を確認した。電荷分離および電荷再結合速度の溶媒依存性から、本化合物の再配列エネルギーを求めたところ、0.86eVと、同程度のドナー-アクセプター距離をもつポルフィリン-フラーレン連結系に比べて大幅に大きい値をもつことがわかった。理論計算の結果、一電子酸化によってペリレン中心上のピロリジン環の構造が大きく変化することがわかり、また、ピロリジン置換ペリレンジイミドの構造変化による再配列エネルギー・vが大きいことがわかった。すなわち、ピロリジン置換ペリレンジイミドが大きな再配列エネルギーをもつため、連結分子全体の再配列エネルギーも大きくなり、結果として電荷分離状態の寿命が短くなったと考えられる。 さらに、ピロリジン置換ペリレンイミド色素を用いた色素増感太陽電池を作製した。本色素は、 (1)高い電子ドナー性および広い光補集能をペリレンイミド色素に付与するためのピロリジン環、 (2)酸化チタン上での色素同士の会合による励起状態の失活を防ぐためのかさ高い置換基、 (3)酸化チタンと化学吸着するための酸無水物部位を有する。本色素を用いた色素増感太陽電池は、疑似太陽光照射下で最大変換効率2.6%を示し、今まで報告されたペリレン系化合物を用いた色素増感太陽電池の中で最高性能となった。 当該年度は他にも、オリゴシランを介した電子移動の鎖長依存性や、オリゴシランを介したエネルギー移動についての詳細を報告することができた。以上のように、当該年度は非常に密度の高い研究を行うことができた。
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Research Products
(5 results)