2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半農村中間層青少年における教養内容の変遷過程についての研究
Project/Area Number |
07J09311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 雅則 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 明治時代 / 日本 / 農村指導者層 / 青少年教育 / 教養教育 / 漢学塾 / 私塾 / 各種学校 |
Research Abstract |
本年度の研究実施では、史料・先行研究の収集・整理を進めるとともに、その成果の一部については学術誌への掲載、著書(共著)の発行、学会報告を通して発表した。 史料の収集・整理については、これまで収集した史料の整理を進める一方、不足する史料の収集も行った。史料収集は、大阪市(大阪府立中之島図書館・大阪市立中央図書館)、長岡市(新潟県立長岡高等学校同窓会史料室)、新潟市(新潟県立文書館・新潟県立図書館)で実施した。 収集史料の整理に基づく研究成果の発表は、制度外にありながら青少年の教育の大きな部分を占めていた各種学校における教育についての概説的な研究を発表した。すなわち、各種学校の教授内容と地域性の変容過程を統計的手法にもとづき明らかにした。そして、農村部においては世紀転換期に至るまで漢学塾への依存が高いことが明確になった。また本研究が対象とする漢学塾が総合的な教育内容を含みこんでいく過程が、全国的な学問塾のたどった過程とほぼ一致したものであることが確認された。以上の成果は、教育史学会にて報告を行った(教育史学会第51回大会「各種学校の歴史的意義」)。その上で再検討を経た成果について、2008年2月に『各種学校の歴史的研究-明治東京・私立学校の原風景』(共著)の一部として東京大学出版会より刊行した(「道府県統計書にみる各種学校の全国動向-教授内容と地域性を中心に」)。また、漢学塾を制度外の教育機関の各種学校の一部であると捉え、先行研究では当時の教育の大きな部分を占めたにも関わらず、制度外の関少年教育についての蓄積がほとんどみられない点を指摘した。一方で制度外の青少年教育を捉える方法について、制度内の教育との比較対照の上で、農村指導者層特有の教養形成の実態について明らかにされる必要があることを報告した(日本教育史学会発表「明治前期農村における学問塾の門人層-新潟県西蒲原郡長善館を中心に」)。
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Research Products
(6 results)