2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09312
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 智広 Kagoshima University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 刺激応答性高分子 / 温度応答性高分子 / コアセルベート / ハイドロゲル |
Research Abstract |
これまでの研究で、我々は側鎖に種々の官能基を導入した新規アクリルアミド型高分子が水環境中で、外部刺激に応答して可逆的なコアセルベート形成を示すことを明らかにしている。そこで本研究ではこのような刺激応答性コアセルベートの材料展開を目的とし、新規高分子から形成されるコアセルベートの機能評価を行った。側鎖に水酸基及びカルボキシル基をそれぞれ有する二種の高分子を水中に溶解させ、その後加熱することで形成されるコアセルベート滴は二種類の高分子鎖から構成されていることが明らかになり、このことは当研究室で設計した高分子二種類の組み合わせに特異的な挙動であることも示唆された。またこの二成分系から形成されるコアセルベート滴に水酸基の架橋剤を添加して一方の高分子鎖のみを架橋することにより、水酸基を有する高分子の網目にカルボキシル基を有する他方の高分子鎖が物理的に絡み合った構造を持つセミ相互侵入高分子網目(semi-IPN)マイクロゲルを作製することに成功した。得られたマイクロゲルは二種類の刺激応答性高分子から形成されているため溶液の温度、pH及びイオン強度等の変化に応答してその体積を変化させることが可能であり、非常に多様な刺激応答挙動を示した。すなわちこのような二成分系から形成されるコアセルベート滴に架橋剤を添加するという本手法を用いることで、高機能かつ複雑な構造を有するsemi-IPNマイクロゲルを簡便に作製することが可能であり、従ってその工業的価値は極めて高いと思われる。 またコアセルベート形成を示す刺激応答性高分子とこれを表面修飾した酸化鉄ナノ粒子を混合して加熱することで、磁場誘導型の刺激応答性コアセルベートを構築することも可能であった。これはモデル物質の分離・濃縮と輸送との二つの特性を有することから、バイオメディカル等の幅広い分野で有用なインテリジェント材料に成り得ると期待される。
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Research Products
(6 results)