2007 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジー関与プロテアーゼのX線結晶構造解析による新規修飾システムの研究
Project/Area Number |
07J09335
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊埜御堂 太一 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オートファジー / システインプロテアーゼ / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
オートファジーに関与するプロテアーゼAtg4bの基質であり、オートファジーにおいて隔離膜の伸張に必要なLC3は、オートファジーにより選択的に分解される分子p62と結合する。p62はC末端ユビキチン会合ドメインを介してユビキチン鎖と結合することが確認されており、ユビキチン化された蛋白質と共に分解される可能性を暗示している。しかしながら、p62のオートファジーによる分解への選別メカゴズムについてはほとんど知られていない。そこでLC3によるp62の認識メカニズムの解明のため、11アミノ酸(Ser334-Ser344)からなるp62のLC3認識配列とLC3との複合体構造の決定を行った。 LC3はGST融合蛋白質として大腸菌で大量発現を行い、アフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行った。精製したLC3の濃縮を行いp62ペプチドを等モル量混合し、ハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化を行った。SPring-8において分解能1.55Aの回折データを収集し、単独状態のLC3をモデルとした分子置換法により複合体構造を決定した。 構造からp62のTrp340とLeu343はLC3の2つの疎水性ポケットと疎水性相互作用を形成し、p62のN末端側に位置する酸性クラスターはLC3の塩基性領域と静電相互作用を形成していることが明らかとなった。この結果を基に、LC3結合能を欠くp62変異体を作製しin vivo分析を行った結果、p62変異体はオートファゴソームに取り込まれることなく細胞質に蓄積し、ユビキチン陽性な封入体を形成した。これらの結果から、p62の細胞内レベルはp62とLC3の直接的な相互作用を通したオートファジーによって制御され、オートファジーを介したp62の選択的なターンオーバーは封入体形成を制御することが明らかとなった。
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