2007 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病発症機構における核内受容体Nurrlの機能解析
Project/Area Number |
07J09352
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 岳人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パーキンソン病 / 核内受容体Nurrl / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は、65歳以上の1%が発症しているとされ、振戦などの運動障害を主徴とする進行性神経変性疾患である。PDの病理学的特徴として、中脳ドーパミンニューロンの脱落変性が挙げられる。近年、あるパーキンソン病家系において、核内受容体Nurr1遺伝子上に変異があることが報告された。Nurr1ホモノックアウトマウス(Nurr1^<-/->マウス)の解析により、Nurr1が中脳ドーパミンニューロンの発生過程において必須であることが明らかとなっているが、Nurr1^<-/->マウスは生後すぐに死亡してしまうため、生後脳での解析は不可能であった。 本研究では、生後脳における中脳ドーパミンニューロンの機能維持・生存へのNurr1の機能を明らかにすることで、Nurr1機能異常とPD発症との関係を明らかにし、新たなPD発症機構の解明を行うことを目的とした。生後脳でのNurr1遺伝子の機能解析を行うため、Cre-loxPシステムによる時期・部位特異的にNurr1遺伝子をノックアウトする手法を用いることにした(Nurr1^<flox/flox>マウス)。 これまでの解析により、成体Nurr1^<flox/flox>マウスの黒質緻密部へAAV2-Cre投与を行いNurr1遺伝子破壊により、ドーパミン生合成律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の発現減少が観察された。また、複数の個体においてはドーパミンニューロン自体の消失が観察された。定量的解析により、AAV2-Cre投与後6週間でドーパミン量の有意な減少が、また中脳腹側部位においてTH陽性細胞の有意な減少が明らかとなった。本研究結果により、Nurr1は中脳ドーパミンニューロンの機能維持だけでなく、その生存維持にも必須であり、Nurr1発現量減少がパーキンソン病発症へと繋がる可能性を示唆することができると考えられる。現在は論文投稿に向け、準備を進めている。
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Research Products
(3 results)