2008 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺細胞の分化過程におけるクローディン4の発現制御と機能に関する研究
Project/Area Number |
07J09376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 春美 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 免疫 / 細胞接着 / 胸腺 / T細胞分化 |
Research Abstract |
生体内におけるクローディン4の機能を調べるため、クローディン4過剰発現を施した骨髄キメラマウスを作出し解析した。T細胞分化に変化は見られなかったが、CD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞におけるCD3,TCRの発現上昇を認めた。この効果は野生型マウスをドナーとした場合は微小だが、TCR遺伝子導入マウスをドナーにすると強く現れた。DP胸腺細胞においてCD3・TCRは恒常的に転写翻訳されると同時にインターナリゼーション・分解が行われることで発現レベルが保たれている。クローディン4はTCRを膜上に保つ働きを持つ可能性がある。 また、クローディン4が過剰発現されたDP胸腺細胞でクローディン4・CD3を抗体で同時に架橋した場合、刺激が強く誘導された。その効果は刺激の強さにかかわらず相加的に刺激を増強するもので、クローディン4がシグナル伝達に直接関与するのではなく、細胞膜上のCD3,TCRと相互作用し構造的にシグナル増強に寄与している可能性を示唆する。更にこのシグナル増強効果は野生型マウス胸腺細胞でも観察された。ただしクローディン4の発現が高い若齢マウス胸腺細胞でのみ認められ、クローディン陽性細胞比率が低い成体マウス胸腺細胞では認められない。 これと並行し、クローディン4遺伝子をloxp配列で挟んだアレルを持つES細胞からキメラマウスを作出した。現在、アレル内に残存する薬剤耐性遺伝子を除去するためgermlineでcreを弱く発現するEIIA-Creマウスとの交配を進めている。一方、germlineでcreを強発現するCAG-Creマウスとの交配により、クローディン4が全身で欠損されたマウスを作出した。これまでクローディン4欠損マウス作出・解析に関する報告はなく、T細胞特異的欠損でなくとも表現型を解析することに意義はあると考える。
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Research Products
(1 results)