2007 Fiscal Year Annual Research Report
集光超分子複合体フィコビリソームと光化学系との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
07J09383
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 久益子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 光合成 / フィコビリソーム / シアノバクテリア / 集光装置 |
Research Abstract |
【目的】光合成の集光装置は、全ての光合成生物が光エネルギーを効率よく利用するために進化させたものである。しかし、原始的な酸素発生型光合成生物シアノバクテリアが持つ集光装置フィコビリソームは、反応中心との相互作用について未解明な点が多い。本研究では、構造の異なる2種類のフィコビリソームCpcG1-PBSおよびCpcG2-PBSに着目し、反応中心との相互作用を多角的に解析することで光合成生物の光エネルギー利用の原理を見いだすことを目的としている。 【方法・結果】光合成生物の短期的な光環境応答の一つであるステート遷移について調べた。ステート遷移とは二つの光化学系間の励起状態のバランスを短時間で調節する現象で、フィコビリソームの動きが必要であることは分かっているが詳細は不明である。そこで、野生株と各cpcG遺伝子破壊株を用い、ステート遷移処理細胞の低温蛍光スペクトル、および室温のクロロフィル蛍光によるステート遷移の経時変化を測定した。その結果、cpcG1破壊株では野生株やcpcG2破壊株で見られるような蛍光の経時変化がほとんど見られず、CpcG2-PBSはステート遷移を起こさないフィコビリソームであることが示唆された。さらに、共焦点顕微鏡を用いてFluorescence Recovery After Photobleaching解析を行った。その結果、いずれの株でも同様に蛍光退色の回復が見られた。従って、ステート遷移に必要であるフィコビリソームの動きに関してはCpcG2-PBSはCpcG1-PBSと違いがないと示唆された。このように、ステート遷移において機能が異なるPBSが存在するというのは初めての報告となる。今後はさらに野生株においてCpcG1-PBSとCpcG2-PBSの機能分化の分子機構を明らかにする必要がある。
|
Research Products
(5 results)