2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09392
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松井 良介 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / TiNi合金 / 傾斜機能材料 / 熱間押出し成形 |
Research Abstract |
本年度は傾斜機能TiNi形状記憶合金(以下,SMA)ワイヤを作製するために,素材となるビレットの評価を行った.また,熱間押出し成形装置を作製し,各種成形条件の探索を行った.本年度の研究で得られた主な結果を以下に示す. 1.傾斜機能TiNi SMAワイヤの素材となるTiNi SMAビレットの状態において変態温度が傾斜機能化していなければ,その後の塑性加工によって傾斜機能TiNi SMAワイヤを作製することはできないため,パルス通電加圧焼結によって作製したビレットの変態温度分布を調査した.焼結体と溶体化処理を施した焼結体(以下,溶体化処理体)のそれぞれについて,変態温度をビレットの長手方向に沿って測定した.その結果,焼結体ではどの位置においても変態温度はほぼ一定であったのに対し,溶体化処理体ではマルテンサイト変態終了温度および逆変態開始温度が徐々に変化しており,溶体化処理が変態温度の傾斜機能化に寄与することを明らかにした. 2.上記1で作製したTiNi SMAビレットを傾斜機能TiNi SMAワイヤへ加工するための熱間押出し成形装置の作製と成形条件の探索を行った.ダイスにNi基耐熱合金,パンチに超硬合金を用い,押出し比6.25,成形温度1073Kの条件で押出し加工を行うことによりワイヤを作製できることを明らかにした. 3.上記2で作製したTiNi SMAワイヤの長手方向の変態温度分布を調査した.その結果,押出したままでは変態温度は傾斜機能特性を示さなかったが,処理温度773K,保持時間1hの形状記憶熱処理を施すことによって変態温度の傾斜機能特性を発現することを確認した. 以上の結果を踏まえ,来年度は作製した傾斜機能TiNi SMAワイヤの熱・力学的評価を行い,その結果に基づいて材料モデルの構築を目指す予定である.
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