2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己集合性スピンクロスオーバー錯体を利用した刺激応答性磁性材料の開発
Project/Area Number |
07J09394
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑原 廉枋 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 錯体 / 液晶 / 配向制御 / 誘電泳動 / 磁気異方性 / 混合原子価 |
Research Abstract |
擬一次元金属錯体は、一次元電子系由来の特異な光学、電気、及び磁気特性より、電子材料や記録媒体への応用が期待されている。中でも、-M-M-X-M-M-X-(M:金属,X:架橋子)で表される二核錯体は、架橋子や金属間距離により、平均原子化状態(AV相)や種々の混合原子化状態(CDW相、CP相、ACP相)等、多種多様な電子状態をとることができる。従って、これらの制御法、及び配向状態の制御が確立されれば、極めて魅力的な機能性材料の創生に繋がると考えられる。そこで本研究では、配向制御、及び錯体間距離の調整による電子状態の制御についての知見を得るため、カルボキシレートRu二核錯体に種々の長鎖を導入したものを合成し、評価を行った。 ノルマル鎖を有する錯体は非極性溶媒中で一次元構造を維持しており、100mM程度の高濃度溶液はリオトロピック液晶となった。更に高濃度にすると極めて粘調な溶液となり、延伸により太さ10μm程度のファイバーが得られた。本ファイバーは明確な吸収異方性を示し、GI-SAXS測定より極めて高度に長軸方向に配向しかヘキサゴナル構造より成ることが判明した。更に、SQUID測定より磁気異方性が認められ、配向構造内でスピン方向が制御されていることが確認された。 錯体溶液を電極間に注入し、交流電場を印加すると光学異方性が発現し、錯体鎖が電場に沿って配向することが確認された。本現象は、錯体鎖の誘起双極子と電場の相互作用による誘電泳動によるものであり、一次元錯体系では初の例である。 アキシャルリガンドをヨウ素に変換した誘導体は、ノルマル鎖体では茶色、分岐鎖体では緑色を呈した。呈色は(πRuO,Ru)→π^*(Ru_2)吸収に由来し、鎖の排除体積で錯体の電子状態が変化したことを示している。分子分散状態では緑色を呈する為、同一骨格を有する錯体で混合原子価(Class I)と平均原子価の制御が達成された。
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Research Products
(1 results)