2008 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体分化におけるチラコイド膜糖脂質とクロロフィル合成系の協調的な制御機構の解明
Project/Area Number |
07J09433
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 康一 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クロロフィル / 葉緑体 / オーキシン / サイトカイニン / 植物 / 光合成 / 根 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究では、高等植物の葉緑体発達時におけるクロロフィル合成系の協調的な制御機構の解明を目的としている。これまでの解析から、サイトカイニンとオーキシンは根でのクロロフィル合成に対してそれぞれポジティブ、ネガティブに作用することを明らかにした。この結果は、クロロフィル合成は組織分化と協調した形で、これらの植物ホルモンによって厳密に制御されていることを示している。そこでさらに、光照射時におこる子葉でのクロロフィル合成におけるこれらのホルモンの関与を調べた。変異体解析から、オーキシンシグナル変異体であるaxr2やshy2、slrでは光形態形成時のクロロフィル量が増加するのに対し、サイトカイニンレセプター変異体のahk2ahk3では反対に大きく減少することが分かった。さらに、クロロフィル合成系遺伝子の発現も同様にこれらの変異体では増減していた。これらの結果は、光形態形成時のクロロフィル合成に関しても、オーキシンシグナルが抑制的に働くのに対し、サイトカイニンは促進的に作用することを示している。しかし、根でのクロロフィル合成系遺伝子の発現は、光シグナルに関わる転写因子であるHY5の制御を極めて強く受けるが、子葉ではHY5はそれほど重要ではなく、オーキシン変異体とhy5との二重変異体も、大きなクロロフィル量の減少を見せなかった。さらに、クロロフィル合成の鍵酵素遺伝子であるCHLHのプロモーターにおいて、HY5が結合すると考えられるG-boxの削除によって発現活性が根ではほとんど見られなくなったのに対し、地上部では依然として強いプロモーター活性が見られた。これらの結果は、根ではHY5依存的にクロロフィル合成制御が行われるのに対し、地上部ではHY5以外のファクターが大きく寄与していることを示している。
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Research Products
(11 results)