2009 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体分化におけるチラコイド膜糖脂質とクロロフィル合成系の協調的な制御機構の解明
Project/Area Number |
07J09433
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 康一 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / 葉緑体 / クロロフィル / 糖脂質 / チラコイド膜 / 光合成 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
本研究では葉緑体発達時におけるチラコイド膜形成とクロロフィル合成の協調的な制御機構の解明を目的としている。これまでの解析から、クロロフィル合成系遺伝子の発現制御には、転写因子であるHY5が関与しているとともに、サイトカイニン、オーキシンといった植物ホルモンがそれぞれポジティブ、ネガティブに作用することを見出した。そこでさらに、チラコイド膜形成に必須な糖脂質合成酵素遺伝子の制御やクロロフィル合成への関与について調べた。遺伝子発現解析の結果、光形態形成時における糖脂質合成遺伝子の発現には、クロロフィル合成系遺伝子と同様、HY5の他にサイトカイニンシグナルが大きく関与していることが分かった。このことから、クロロフィル合成と糖脂質合成は遺伝子の転写レベルでの協調的な制御を受けていることが明らかとなった。さらに、クロロフィル合成量が減少した変異体では、その減少量に応じて糖脂質合成酵素遺伝子の発現が減少していたことから、これらの遺伝子発現制御に、クロロフィル合成経路がなんらかの関与をしていると考えられる。興味深いことに、反対に糖脂質合成を欠失した変異体では、クロロフィル合成系遺伝子の発現が大幅に減少していた。これらの結果から、チラコイド膜糖脂質合成とクロロフィル合成は、お互いにそれぞれの遺伝子の発現に影響を与えていることが明らかとなった。葉緑体発達時におけるチラコイド膜の脂質二重層形成やクロロフィル合成は、それぞれ協調して進行することが正常な葉緑体の発達に重要であると考えられるが、上記に見られた制御はその協調的におこる光合成系の構築に重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)