2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規樹木状多分岐ポリマーの精密合成とナノ機能物質への応用
Project/Area Number |
07J09450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 拓海 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リビングアニオン重合 / 樹木状多分岐ポリマー / 精密合成 / 繰り返し法 / ナノ機能物質 / 水溶性ポリマー / 原子問力顕微鏡 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
本年度は先ず、新規に開発した繰り返し反応と特別に設計した化合物を用いることで、樹木状多分岐ポリマーの分岐構造の制御を行った。開始末端に2個または4個のtert-ブチルジメチルシリロキシメチルフェニル(SMP)基を有するリビングアニオンポリマーと鎖末端ベンジルブロミド基化ポリマーのカップリング反応、SMP基のベンジルブロミド基への官能基変換反応を繰り返すことで、樹木状多分岐ポリマーの精密合成を行った。2個または4個のSMP基を有するリビングポリマーを組み合わせて用いることで、様々な分岐構造を有する樹木状多分岐ポリマーを合成したが、得られたポリマーはいずれも設計通りの分子量(数十万〜数百万)と狭い分子量分布(1.05以下)を有しており、目的のポリマーを定量的に得ることに成功した。これによって、樹木状多分岐ポリマーの分岐点での分岐数が自在に制御可能となった。 次に、樹木状多分岐ポリマーの分岐構造を極めて精密に制御可能となったことを受けて、樹木状多分岐ポリマーの溶液物性について調べた。その結果、分岐数、世代数、分子量など構造因子と固有粘度、流体力学的半径などの溶液中での挙動に関する密接な関係が初めて明らかとなった。また、小角X線散乱測定から樹木状多分岐ポリマーに溶液中での形状が明らかとなった。さらに原子間力顕微鏡観察より、固体状態での樹木状多分岐ポリマーの単分子の画像を世界で始めて撮影することに成功しており、分岐構造から期待される形状を観察することができた。 続いて異種のポリマーセグメントを導入することを試みた。本年度は親水性に焦点を絞り、いくつかの親水性セグメントの導入を試みた。導入反応はいずれも定量的に進行し、目的の親水性樹木状多分岐ブロック共重合体が多数得られた。また、得られたポリマーのうちいくつかは水溶性を示し、さらにある温度で水への温度が変化する曇点を有するものもあった。
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Research Products
(5 results)